Press Release
2021.9.28
米Syzygyと光触媒水素リアクターで技術提携
超ハイパフォーマンスの分散型水素製造システム 福島県浪江町で実装へ
會澤高圧コンクリート株式会社(本社苫小牧市、社長:會澤 祥弘)は、米国テキサス州のスタートアップであるSyzygy Plasmonics Inc.(以下、Syzygy)と提携し、水素より安全で扱い易いアンモニアを「水素キャリア」としてデリバリーし、最先端の光触媒リアクターによって非常に少ないエネルギーでアンモニアから燃料電池クラスの水素を製造・供給する次世代水素SS(サービスステーション)の実用化に乗り出します。2023年4月に福島県浪江町に開業する当社の研究開発型製造拠点「福島RDMセンター」にコンテナモジュール型の初号機を実装し、フィールド実験を通じて、水素社会を拓くカギとなる水素・アンモニアのバリューチェーンモデルの構築に貢献して参ります。
■革新的な光触媒技術
Syzygy(シズィジー:惑星直列の意)は、米ライス大学でハラス教授とノードランダー教授が考案した世界最高性能のプラズモニック光触媒技術をベースに、ベストCEOらが両教授をアドバイザーとする開発チームを立ち上げ、ヒューストンで起業しました。今年4月には2,300万UDSのシリーズBの資金調達を成功させた有力スタートアップです。
従来の触媒ナノ粒子(リアクター)と、より粒が大きい光捕集プラズモニックナノ粒子(アンテナ)を組み合わせた「アンテナリアクター」と呼ぶLED光触媒技術の実用化を目指しており、1kgの水素をわずか23kWhの電力でアンモニアから99.999%という高い純度で変換することを実証しました。これは、水の電気分解による水素製造方式と比べて20%以下という驚異的な省電力で、火力などの内燃機関を備えた大型プラントとは全く異なる、コンパクトで環境にやさしい分散型の水素製造システムに道を拓くことになります。
私たちは、この革新的な光触媒を使ったリアクターユニットをコンテナモジュール形式でプロトタイピングしてRDM構内に設備し、リフトなどの構内物流に水素を本格利用しようと計画しています。貯蔵タンクのアンモニアと電力を統合して燃料電池グレードの水素を製造・供給するフルストリームのコンパクトな水素ステーションを実装します。水素1kgを製造するための必要なアンモニアは5.67kg。約100kg/日の燃料電池級水素製造モデルを想定した場合、システム構成は以下のとおりとなります。
① コンテナモジュール型光触媒水素製造リアクターユニット
② 5.0ton用アンモニアタンク
③ 0.5ton用水素タンク
④ 水素ディスペンサ
私たちは、再生可能エネルギーの主力電源となる風力発電の普及を後押しするため、タワー建設に係る様々な技術開発を進めています。その風からの電気でつくられ、生産プロセスでCO2を発生させない、いわゆる「グリーン水素」や「グリーンアンモニア」は、カーボンニュートラル時代の主役となるべきエネルギーでしょう。風・水素・アンモニアが自在に連携するハイパフォーマンスなエネルギーバリューチェーンを実現するために、私たちはSyzygyのようなテクノロジー企業と広く提携し、脱炭素に貢献して行く考えです。